John&Edward's blog-世の中の靴に物申す-

靴好きの2人のブログ

第1.2回〜Crockett&Jones〜

「ケミカル」は素材開発技術の進歩でもある


Jhでもさ、再三触れてるメス仕上げの話もちょっと重なってくるんだけど実際はさケミカルな物を使ってるのかな。作りとして昔とは違うところ、本来のファクトリーとしての矜恃を持ったCrockett&Jonesからちょっとずつ方向性がズレて行ってるみたいなところはあるのかな。
Ed:んー。正直ケミカルと言ったらケミカルだろうね。UNION WORKSの中川さんなんかは誰よりも靴の中身の話を知ってる人の中の1人な訳で。自分はケミカルという意味があまりわからないが(笑)。でも正直な話、中身は少し残念、8万の靴でこんな感じか……って感じ。掬いの糸と出し縫いが被っていることが多くてソール剥がす時切れる。それと時代がと共に接着剤が進化して、より強力になった気がする。強いから剥がれない。その代わりに結構履き込んでもコバ回りの隙間は少ないよね。善し悪しで言ったら世間的には良いんだ ろうね。隙間が無いのは。

Jh:うんうん。

Ed:でも靴的には通気性、修理のしやすさに関しては良くない。アッパーの革も技術が上がって傷とか血筋を隠せるようになった。履く人、店頭で並んだ時のことを考えてなんだろうけど長年履いてるとその差は歴然。その辺をひっくるめて「ケミカル」と言っているんじゃないかな。ウェルトの メス仕上げなんかも表面上はステッチが隠れてキレイだけど切れ目が入っている分、ウェルトは痛みやすいしステッチ穴を追えないから二度目三度目とウェルトのコンディションが、がくっと悪くなる。それに同じ修理をするには専用の機械が必要なんだけど日本だとどこにあるんだろう??
Jhなるほどね。リウェルト掛け直さないと…というか専用の機械が無いと掛け直しても元通りにはならないわけか。
Ed:だから昔のあまりいじってないときの方が良いと言うのかな。隙間は空くし革の色ムラ、血筋もある。でも技術がなくてより「皮に近い」状態だった。その反面、よりキレイな物を選別しようと買い手の目が肥えた……いや、違うな。厳しくなった。だから検品が通るようになるべく仕上がった状態、新品が1番とは言わな いけど店頭映えするクオリティまで持って行く。それが今の考え方で昔はそうじゃなかった…というわけじゃないと思うんだよね。今も昔も買ってもらうことが大事で、店頭での見栄えや当時の技術で靴としての見た目良さというのを追求していた。そう考えると一概に古い靴がいいとは僕は思わないね。
Jh昔よりケミカルっていうよりは人工的、機械的なんだろうね。中身の件は昔にエドから聞いてそういう物なのかと何と無く知ってたけど具体的に聞くと面白い。縫い糸の被りなんかは技術的には不足している様に感じる。あとはボンド諸々の靴、革を囲む材料の進化は新鮮。「手仕事」「こだわり」って一概に言ってもその辺は進化し続けるわけでうちだけ昔のにしてよって話してもおそらくそうはいかないだろうし。
Ed:そうなんだよね。
Jh剥がれない、革に血筋がない方が「美しい」と思う人が多いかもね。結局手作りに対しての部材の進化のバランスが変わってる、あとは見た目上は「完全であるこ とを第一にする美しさ」の追求が結果的に「良い靴なのか?」ってなるんだろうね。ニーズに合わせての変化。でも、一方で修理のしやすさ、本来の良さは失われるという。剥がしやすく、解きやすい方が靴への負担は少ないし、ウェルトの隙間なんかも実際歩くときに良い作用もあるしね。特に屈曲時のウェルトのズレなんかはユニオンワークスもトリッカーズを例にあげながら一時期ブログで啓蒙してたしね
Ed:それに全ての靴がダメってわけでもないんだよね。全く別ジャンルの靴の紹介になるけど個人的にはコニストンはまだ欲しい。でもオードリーはデザインは好きだ けど仕様があんまり好きじゃない、あとへたってくる箇所が多いから…ブランド内でも色々あるから一概には言えないけどクロケットには僕がほしい靴はあまりない。履き心地は人それぞれ足の形があるから断言できない。リーガルが合う人もいればクロケットが合う人もいる。勝手にフィッティングして履いてくれ。履きやすいのがいいならどっかのコンフォートシューズをお勧めするよ。
Jhコニストンは何にも合うし、ごつくも無いし、良いよね。あとはジェームスボンドも履いたアイラ。プルリングがレザーなのが好き笑。オードリーはそうだねぇ。 どこがかは分からないけどへたって来るね。なんかふにゃってなっちゃうよね。フィッティングに関しては本当にそれ。欲しいのと履ける・合うのは違うからそもそも合ってないのを無理やり合わせるみたいなことになるともう…ね。パラブーツとかトリッカーズとか割とそういうのある。

 

f:id:john-edward:20140514182749j:plain

Consejo compra botasより

Ed:365のアイラも良い。よく名前から来てるアイラ島はウィスキー作りが盛んで強烈な匂いのアイラウィスキーだが上品さを失わない。そんな例えのぴったりなブーツだね。
Jhなかなかに詩的だな笑。でも確かにその辺の上品さのさじ加減とか抜き差しの感じってのは誰でもわかる佇まいの良さにつながるよね。それを「実は中身が…。昔の方が…」って話になるとちょっとこじれてくる感じ。ただ、その表面に出てくるそういう良さは間違いなく良い。端的に言うと靴バカには少し物足りない、で もトータルバランスで見ると良いって感じかね。
Ed:お、うまく着地させましたな。nice landing。
Jh:まぁまぁ、何かとアレですからね。
Ed:次はどこの靴について話す??チャーチ?
Jh:そうだね。あそこは今個人的にかなり面白いことになっているブランドだから話したいなぁ。
Ed:とりあえず明日のチェックアウト結構早いし今日はこの辺で締めますか。

(-2014年5月4日関西地方、畳ソファのある旅館にて録音)