John&Edward's blog-世の中の靴に物申す-

靴好きの2人のブログ

第0回-ご挨拶に代えて-

『自分の足で比べてみないと分からない、けどブランドが欲しい』

 Edward(以下:Ed):世の中の靴に物申す

John(以下:Jh):そのタイトル、ダサいけどいいね。とりあえず初めてだから第0回、ご挨拶とかやる感じで。

Ed:そもそも何故高級靴なのか。何を基準に高級なのか、何を基準に人気なのか、どのブランドだってデザインにそう変わりはない。わざわざその靴を選ぶ意味があまり分からない。ブランド?知名度?職人のおじさんがせっせと作ってるからいい靴なのか。こだわり、ディテールなどあるが実際どこまでその靴を理解しているのか。様々な情報が飛び交っているがここはあえて真実を突きつけ紐解いていきたい。

Jh:良い挨拶だね(拍手)。高い靴になると「履きやすい」「上質な革」「包み込まれる」「丁寧な仕事」は常套句として出てくるけどそんなの当たり前だよね。何にせよブランドを背負いたいからってのは間違いなく心理的に働いてると思う。

Ed:ブランドロゴを背負いたいのは構わないが情報に流されよく理解しないで購入するのは頂けない。実際中身なんて開けて見なきゃ分からないからね。そこまで興味ない人がほとんどでしょう。

 

Jh:雑誌やネットで一生懸命調べて買わないと不安な人達が多いからね。足なんてそれぞれ違うんだから履かないとわからないのに。

Ed:頑張って調べて履いたってわかんないことも多い。おそらく他の靴履いたことないんだろう。

Jh:本当そうそう。

 

 『グッドイヤーが馴染んでくる、修理が半永久的にできるとは言うけども』

Ed:グッドイヤーの沈み込みだってあやしいもんだよ。コルクがなんかの安易な沈み込みで全てが決まるなんて。

Jh:足の形に…。とかいうけどあんなのフィッティングの逃げだよな。言い訳言い訳。

Ed:「長く履けば馴染みますよ」なんて、どれだけ履き込めばいいのか。

Jh:グッドイヤーウェルテッドだと構造的にコルクなり何なりを詰めないといけない。それが副産物的に沈むのを「馴染む」というのかと。

Ed: あ、あと練りコルクと板コルクの違いなんてそんなないからね。

Jh:お?それは初耳だな詳しく教えてくれ。

Ed:練りコルクは生産性が悪いの。一日乾かさなきゃいけない。人によって押し込む人は押し込むし下手な人がやれば空気入るし。そもそも糊とかタール混ぜて固まったら硬くなりそうだが。そして隙間までびっちり入るのは確かだけど意味があるのかないのか…。板コルクは機械で生産してるから厚さは均一。貼った瞬間完成だし生産性は良いよね。修理もほとんど板だろうし。まぁ、中底と接着する際上からぽんぽんハンマーで叩いて足に馴染むと言われているコルクがいびつな形にならないのかが疑問。

Jh:生産性が悪くてぴっちり入ってるのが「こだわりの仕事」なんじゃないの(笑)。板にせよ練りにせよさ、一生物って割りにはそのクオリティ、修理なりなんなりが一生履くことを担保できるかと言ったら疑問だよね。修理上がってきて詰め方悪いと履き心地変わって履きたくなくなっちゃうじゃん(笑)。

Ed:だよなぁ。

Jh:それにしても革靴に関して言えば、色んなものを巧くポジティブに変換するのはうまい。エイジングとか手作りだから…なんて。コルクに関して言えば「ハンドソーンの方が足が痛いとか、マッケイは薄いから痛くなる」とかフィッティングが合って無いよって話。究極にフィットすれば足の筋肉が人体支えられないわけ無いじゃん。どんだけ座り仕事してるんだよ。おじいちゃんかよ。俺なんてマッケイ履いててもほとんど足痛くならないよ。合ってるから。この前職人に言われたわ「あれ、この木型とても合ってますね」って。

Ed:「おじいちゃん」って(笑)。

Jh:ま、そこまで分かる、理解をしている人が「これは一生物なんだ!」なんて息巻いて買わないだろうけど。

 

『一生物じゃなくて一生持たせられるもの』

Ed:そうだね。一生物なんて正直難しい。10万円の靴1足あるより1万円の靴10足持ってた方がよっぽど一生物だし衛生的。一生物と言われる時計も少し重なる部分あるけれど、靴はその現実を理解した上でメンテナンスを施さなければいけない。理解もしないで買った瞬間一生物の訳ないでしょ。好きだって言い切るなら「どう持たせれば一生」なのかを勉強して貰いたいもんだ。

Jh:何も身体的な理解は無いまま「俺は最強の装備を手に入れた!」ってゲームみたいな話。そう。愛があるなら勉強は必須。勉強って言っても座学じゃなくてフィールドワークに近いのかな。体験して学ばないとね。

Ed:「最強の装備」って面白いね。話が少しずれるけど、そうなるとそれなりの服装、身だしなみが必要。トータルバランスとも言えるね。「足のパーツだけメッチャ高性能」ってバランスおかしい。たまにどこかだけ強くすれば楽勝なゲームとかはあるけど(笑)。ていうかさ、そもそも靴の最低条件って何よ?

Jh:そうなんだよね。結局トータルのバランスになってきちゃう。服だけじゃなくて着る人の経験値みたいなのも必要だからそこが面白いところなんだけど。靴の最低条件か…。個人的にはまずはフィッティング命、その上で複数持つことじゃないかね。一足だけだとガタが来るし。やはり何足かは必要。10万クラス一足、20万クラス一足というよりは纏まった予算で3足買うって感覚の方が良いと思う。配分は均等じゃなくても良いし、むしろばらけさせた方が、それぞれの役割が出てきて面白いと思う。

Ed:それは確実にそうだね。中底、アッパーの痛みを考慮すると履き回しは常道。でも正直ちゃんとメンテナンスして6足履き回しで一生持つ?

Jh:複数足ローテーションでもやっぱり全部一生持つってのは難しいんじゃないかな。最終的に「残ってるな。これ」ってのはあると思うけど最初から一生物を目指して履くとなると難しいね。偶発的に一生物になってるというか。その影に履き捨てられる靴が沢山あるんじゃないかな。

Ed:面白いね。同意しておこう。ところで一生履ける靴の条件は何?

Jh:はは。ありがとう。現実的に考えると安心して修理ができるかどうか。そういう意味だとロングセラーの定番品、昔からあるブランドなんかは修理する側も慣れてるんじゃないかな。さらに理想を言うなら満足度の高い靴。これはブランドというよりは個々人の思い入れだね。「誰々からもらった」とか「初めてのボーナスで」とかそういう意味だと良い出会いってのが大事。愛着とそれに応えられる靴なのか。その二つを満たしてれば他の靴がその代わりに死んでくれる(笑)。流行りよりも愛着が勝れば無闇矢鱈に履かないし、大事に履く、他の靴でのフィードバックをその靴に活かす…ってなるんじゃないかな。そうなるとやっぱり一足じゃ足りない。作業靴、雨靴、勝負靴……。

Ed:まぁそうなんだよね。結局は屍の上に一生物っていう旗が立つというか。しかも今言ってくれたようにそれぞれの靴に応じてそういう山が築かれるという。

Jh:上手い事言うね。

Ed:いや…言いたいこと全部言われちゃったからさ。

Jh:(笑)。

Ed:とりあえず色んなものを好き嫌いせず履いてみてそこから相対的に「自分なりの良い靴」を探すということと「これ一足で最強」ってのは現実的に無理。ってことかね。

Jh:お、丸く納めた。

Ed:まぁまぁまぁ。時間もアレだしとりあえずこの辺で0回は終了ってことで。

Jh:お、勝手に締めた。

Ed:その言い方ね。次からはブランド毎に話せればと思うんだけど。

Jh:お、勝手に方針決めた。

Ed:いや、これはそういう話だったじゃん。

Jh:クロケット&ジョーンズの話する?笑

Ed:その辺は次回をお楽しみにってことで!

 

 (-2014年04月30日都内某所で録音)